2026 年 87 巻 4 号 p. 415-421
症例は61歳,女性.右乳房の腫瘤と乳頭分泌を主訴に来院した.マンモグラフィでは両側ともカテゴリー1で,超音波検査では右乳房9時方向に20mm大の混合性腫瘤を認めた.乳腺造影MRIでは右乳腺CD境界に14×19×18mmのring enhancementを伴う辺縁不整な腫瘤を認めた.針生検ではmetaplastic carcinoma with squamous cell component(luminal type)であった.cT1cN0M0 stage IAと診断し,乳房部分切除+センチネルリンパ節生検術を施行した.術後病理ではpT2N0M0 stage IIAであり,mixed metaplastic carcinoma(apocrine癌や浸潤性乳管癌を伴う扁平上皮癌(40%)+乳腺線維腫症様化生癌(fibromatosis-like metaplastic carcinoma:以下FLMCa)(60%))の混在と診断した.
FLMCaは低悪性度の紡錘細胞癌に相当する組織型で,疾患概念が新しく,術後補助療法についての有用性が明らかではない.適切な診断・治療のためには,今後さらなる疾患概念の理解や慎重な経過観察が必要であると考えられた.