人工知能
Online ISSN : 2435-8614
Print ISSN : 2188-2266
人工知能学会誌(1986~2013, Print ISSN:0912-8085)
人工知能システムの疎結合型並列コンピュータによる高速化の研究(問題解決手法)(<特集>人工知能分野における博士論文)
湯川 高志
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2001 年 16 巻 6 号 p. 872_2-

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抄録

本論文は, プロダクションシステム(PS), ニューラルネット(NN)システム, 概念べースシステムといった広範な応用が期待される人工知能システムを対象として, 疎結合型並列コンピュータを用いてそれらを高速化する並列化方式を提案し, それらの性能を評価している.PSに関しては, 条件照合に用いられるRETEマッチ・アルゴリズムを対象として, 疎結合型並列コンピュータに好適な"TWIN"並列化方式を提案している.さらに, 本方式を効率的に処理する機能を備えた並列コンピュータの設計製作とシステム実装を行い, 実験評価を行った.NNに対しては, バックプロパゲーション学習について, 並列化による速度向上の上限値を理論的に導出した.疎結合型に向けた並列化方式を提案し, その方式が理論的な上限値を達成していることを示した.概念べースシステムでは, 類似概念検索処理に対して, 探索空間を絞り込みつつ並列処理する方式および意味ネット向け並列コンピュータSNAP(Semantic Network Array Processor)による並列化方式を提案している.近年, インターネット上での溢れんばかりの情報の洪水の中から知識を抽出・構成するために, 高速な人工知能システムが必要とされること, コモデティ・ハードウェアを用いたコストパフォーマンス良好な並列コンピュータが実現されていることについて触れ, 本研究が, 情報処理技術の今後の発展に資するであろうことをもって緒言とする.

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© 2001 人工知能学会
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