医学検査
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技術論文
迅速VREスクリーニング培地「クロモアガーTM VRE blue」の特性とその性能評価
米倉 すず林 秀幸磯崎 将博山本 景一福吉 葉子森 大輔中村 朋文田中 靖人
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2025 年 74 巻 3 号 p. 521-529

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抄録

VRE(vancomycin-resistant enterococci)は感染対策が必須の薬剤耐性菌である。2023年12月に迅速VREスクリーニング培地であるクロモアガーTM VRE blue(CH-blue)が発売された。今回,我々はその培地性能について,BD BBLTM VRE選択培地(BD-VRE)を対照とした比較検討を行った。検討菌株として,vanA又はvanB保有株(7株),プラスミド性耐性遺伝子非保有株(11株),臨床材料として糞便検体(98検体)を使用し,それぞれにおける菌の発育性を比較した。さらに,CH-blueに発育したプラスミド性耐性遺伝子非保有の7株を用いて,CH-blue製造後から時間的経過による発育抑制能を追加検討した。VCM ≥ 16 μg/mLのvanA又はvanB保有株は,CH-blueにおいて24時間の発育が良好かつ視認性に優れていた。VCM ≤ 8 μg/mLのvanB保有株は,BD-VREにおいて低濃度菌量で発育を認めたが,CH-blueにおいて高濃度菌量で発育を認めた。また,プラスミド性耐性遺伝子非保有株の発育抑制能は,CH-blueを用いた48時間以上の延長培養で乏しく,かつ有効期限が迫ったCH-blueで低下することが示唆された。以上の結果から,各培地の特性を理解し,判定期日や施設の状況に即した培地を選択することが重要であると考えられた。

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