人工知能
Online ISSN : 2435-8614
Print ISSN : 2188-2266
人工知能学会誌(1986~2013, Print ISSN:0912-8085)
Differentiation in Fuzzy Calculus and Its Applications to Decision Making and Financial Engineering (Problem Solving)(Special Issue:Doctorial Theses on Aritifical Intelligence)
戒野 敏浩
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2001 年 16 巻 6 号 p. 873_2

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抄録

本論文は, ファジィ関係の重心微分とファジィ測度空間上のショケ積分の微分を金融工学や意思決定などに応用し, 実際のあいまい情報下で注目変数の値の増減が他の変数に及ぼす影響を分析する指標として, これらの微分概念が実用的に有効なことを実験などを通して検証し, 各応用分野に新しい一つの解析手法を与えることを目的とする.本論文は全6章から構成されており, 各章の概要は以下のとおりである.第1章の「序論」, 第2章の「本論文で使用される用語・記法等の解説」に続き, 第3章の「ファジィ関係における微分と設備投資意思決定問題への応用」では, ファジィ関係における重心微分が, あいまいさを含んだ各要因の変化が資本利益率に与えるインパクトの概略値を簡単に意思決定者に提供することができる有効な指標であることを示す.次に第4章の「ショケ積分の各種の微分」では, ショケ積分の値域における微分, 定義域における微分, ファジィ測度シフト微分を提示したうえで, それらの性質について言及する.第5章の「ショケ積分の微分の意思決定問題および金融工学への応用」では, 設備投資意思決定問題, 長期債券格付分析, 日経平均株価指数オプション取引に各種微分を応用し, その有用性について確認する.最後に第6章の「まとめ」では今後の展望について言及する.

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© 2001 人工知能学会
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