全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
シンポジウム
お灸の研究
尾崎 昭弘會澤 重勝戸田 静男熊本 賢三榎原 智美小池 太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 58 巻 1 号 p. 32-50

詳細
抄録

 艾の特徴と温熱刺激特性、艾の生化学的特性とその作用、 施灸皮膚組織の形態学的変化に焦点をあて、艾を用いる灸法の科学的根拠は何かを探った。 以下はシンポジストの発表と見解の概要である。
 (1)艾の特徴と温熱刺激特性:ヨモギと艾、 ヨモギ以外の原料と艾類似物、艾の温熱刺激特性などが発表された。 実験・調査を通じたヨモギとの通説の再検証結果や見解なども示された。 (2) 艾の生化学的特性とその作用:ヨモギや艾の化学物質、艾の抗酸化ストレス作用、 生体情報伝達作用、 エネルギー代謝賦活作用、 抗炎症作用など、 多岐にわたる生理活性作用の発表が行われ、 その見解が示された。 新たな化学成分の抽出を踏まえた生化学的作用の総括も行われた。 (3) 施灸皮膚組織の形態学的変化:施灸による表皮、 結合組織、 血管や神経組織などの形態学的変化の発表が行われた。 皮膚組織の再生では、 血管の再生と共に角質細胞や線維芽細胞の作用が特に重要なこと、 皮膚組織がある程度修復されてこないと神経線維は再生されないことなどが強調され、 その見解が示された。

著者関連情報
© 2008 社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top