全日本鍼灸学会雑誌
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原著
鍼灸治療が自律神経機能に及ぼす効果
皮膚電気抵抗・皮膚温等を指標とした検討
小杉 純子
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2008 年 58 巻 5 号 p. 742-748

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抄録

【目的】鍼灸治療が不定愁訴を持つ患者の自律神経機能にどのような影響をもたらしているかを明らかにすることを目的とし、 治療前後の患者の自律神経系機能について調べた。
【方法】肩こりなどで鍼灸院に通院する11名の患者を対象とし、 皮膚電気抵抗、 皮膚温、 脈拍数、 血圧、 体温を3月~8月までの間、 治療前後に連続して測定し、 比較した。 【結果】鍼灸によって皮膚電気抵抗や皮膚温等に変化が認められた。 3月~5月には皮膚電気抵抗は有意に減少 (電流量が増加) し、 皮膚温の有意な上昇が認められた。 8月には皮膚電気抵抗は有意に増加 (電流量が減少) し、 皮膚温の下降傾向が認められた。 脈拍数は減少傾向を示した。 血圧、 体温には一定の傾向が認められなかった。
【結論】鍼灸治療は皮膚交感神経系の機能を季節に応じて変化させる事により、 患者の自覚症状の改善に役立っていることが示唆された。

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© 2008 社団法人 全日本鍼灸学会
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