全日本鍼灸学会雑誌
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報告
大学病院内科病棟における鍼灸治療の利用状況について
岐阜大学 循環・呼吸・腎臓内科における依頼状況を中心とした報告
松本 淳金子 聡一郎村田 一知朗鎌田 剛川久保 勳赤尾 清剛大野 康湊口 信也藤原 久義
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2009 年 59 巻 2 号 p. 125-133

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抄録

【目的】内科入院患者の鍼灸治療の利用状況に関する詳細な報告はない。 今回、 当院循環・呼吸・腎臓内科病棟 (以下、 当科) における鍼灸治療の現状について、 鍼灸治療の依頼状況を中心に報告する。
【方法】2004年6月から2007年3月に当科入院中に鍼灸治療が依頼された患者を対象に、 鍼灸依頼愁訴 (主訴)、 入院基礎疾患、 依頼愁訴と基礎疾患との関連の有無を調べた。
【結果】鍼灸依頼件数は266 件であった。 依頼愁訴の最多は、 嘔気・食欲不振・しびれなどの肺癌化学療法副作用であり、 息切れ・呼吸困難、 癌性疼痛、 筋骨格系の疼痛、 食欲不振、 倦怠感などが続き、 少数例では便通異常や意識障害などが挙げられた。 また、 総依頼件数の86.4%が、 依頼愁訴と入院治療に関連を認めた。 1日の平均治療人数の推定値は約10人であり、 当科病床53床の約2割に相当した。
【考察・結語】鍼灸依頼愁訴の多くが入院治療に関係していたことから、 当科における鍼灸治療の依頼に際して、 鍼灸治療が入院治療の一つとしての役割を期待されていたことが推察された。

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© 2009 社団法人 全日本鍼灸学会
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