全日本鍼灸学会雑誌
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特別講演
脳卒中リハビリテーションの革新を目指す促通反復療法(川平法)
患者に無駄をさせない神経路の再建・強化を目指して
川平 和美
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2013 年 63 巻 4 号 p. 244-251

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抄録

 脳卒中リハビリテーションでは多くの治療が行なわれ、 特に固有感覚神経筋促通法 (PNF) やブルンストローム法、 ボバース法などの神経筋促通法が片麻痺の回復を促進するかについて研究されてきた。 しかし、 これらの片麻痺への効果は従来の治療法より有効であるとの結果は得られていない。
 片麻痺は大脳皮質あるいは運動野からの軸索の損傷が原因で生じていることから、 その回復には大脳皮質から脊髄前角細胞までの神経路の再建/強化が欠かせない。 神経路の強化には、 まず興奮を伝えたてシナプスを伝達効率が上げる、 興奮伝達を繰り返してシナプスの組織的な結合強化を促進する必要がある。
 促通反復療法は、 患者の意図する運動に関与する神経路の興奮水準を治療者が新たな促通手技によって高め、 その運動の実現と反復を行い、 神経路の再建/強化を目指している。 治療効果はクロスオバーデザインや比較対照試験、 無作為対照試験など客観性の高い方法で検討され、 いずれも促通反復療法の片麻痺改善効果を証明している。 今後、 促通反復療法と電気刺激や振動刺激などとの併用療法により効果的な治療となることが期待される。

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© 2013 社団法人 全日本鍼灸学会
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