抄録
伝統医学の特性からいって鍼灸の発展の方向性は、 ローカル化であろう。 西洋医学がグローバル化の道を歩んできたのに対し、 伝統医学はひたすらローカル化の道を進んできた。
では日本鍼灸のローカル化、 すなわち日本化によって創られた特色とは何か、 それは繊細な鍼灸手技、 豊富な鍼灸用具、 切診を重視した診察法、 様々な治療法の折衷や併用である。 それらは、 日本の文化的、 精神的風土により形成されたものであり、 日本人の感性や心性 (メンタリティ) が強く影響している。
伝統とは時代に培われ、 時代とともに生き、 時代を経て伝えられてきたものである。 伝統医学である鍼灸も同様であり、 その時代の人々に寄り添いながら育まれ、 伝えられてきた。 このように鍼灸は伝統という特性を内包した医学・医療であることから、 いつの時代においても人々のニーズに応えることができるはずである。 そのことを再確認し、 鍼灸の未来を展望することが必要ではなかろうか。