全日本鍼灸学会雑誌
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原著
鍼灸治療における全身の体表温度変化の規則性について
-陰経と陽経の違い-
田口 知子中村 真通
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2024 年 74 巻 2 号 p. 75-83

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抄録

【目的】鍼灸治療による皮膚温変化について、 サーモグラフィーを用いた報告が散見される。 本研究では、 全身の主要経穴の温度を非接触式体温計を用いて測定し、 治療前後における皮膚温変化について検討した。 【方法】インフォームドコンセントを得た冷えを自覚する女性8名に対して、 冬季 (X年12月~X+1年2月) に鍼灸治療を行った。 刺鍼部位は、 中、 天枢、 関元、 天柱、 風池、 膈兪、 肝兪、 脾兪、 腎兪、 委中、 飛揚を用い5分間置鍼した。 また、 治療前後に非接触型温度計を用いて、 全身の経穴部 (天突、 巨闕、 神闕、 関元、 帯脈、 内関、 外関、 承筋、 三陰交、 湧泉、 身柱、 至陽、 命門) の温度測定した。 その後、 各経穴ごとに治療前後の温度について相関グラフを作成、 治療前後の温度変化についてはウィルコクソンの符号順位和検定と線形回帰分析により、 治療前経穴温度依存性を調べた。 【結果】腹部、 上肢内側、 下肢内側については、 治療前の温度に依存せず一様に治療後に経穴温度が有意に上昇した。 背部、 上肢外側、 下肢外側については治療後の経穴温度は、 治療前温度が低い部分は治療後に上昇するが、 治療前温度が高い部分は治療後に下降した。 側腹部、 足裏については治療後有意な上昇がみられ、 かつ治療前温度が低い人ほど上昇度が大きかった。 【考察】陰経では治療前の温度に依存せず、 一様に温度が上昇し、 陽経では治療前の温度が低い部分は治療後の温度が上昇するが、 治療前の温度が高い部分は治療後に温度が下降する。 また表裏の境目では、 治療後に有意に温度が上昇するとともに、 治療前温度が低い人ほど上昇度合いが大きいというような特性があると考えられる。 【結語】今回の鍼灸治療では、 陰経は一様に温度が上昇し、 陽経では熱のバランスをとり、 表裏の境目では陰陽両方の特性による温度変化がみられた。

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