2024 年 74 巻 2 号 p. 93-100
【目的】骨盤位に対する鍼灸治療の安全性を検討すること。 【対象と方法】20XX-11年3月1日から20XX年12月28日までの期間で入院中の切迫早産妊婦に骨盤位の鍼灸治療が行われた症例を後ろ向きに調査した。 調査項目は、 妊婦の背景、 妊婦および胎児の状態 (Non stress testを含む)、 切迫早産の薬剤投与量の変化、 鍼灸治療の転帰、 鍼灸治療による有害事象の有無とした。 【結果】対象に該当した妊婦は23名であった。 全例で標準的な切迫早産の管理を受けていた。 鍼灸の施術回数は一人あたり7回 (中央値) で、 総のべ施術回数は157回であった。 鍼灸治療後24時間以内に子宮収縮回数の有意な増加は認めず、 分娩までに胎児の状態がnon-reactiveと評価された例はなかった。 鍼灸治療後24時間以内の薬剤投与量の有意な増量は認めなかった。 頭位に矯正された率は39.1% (9例/23例) だった。 鍼灸治療による有害事象は2件 (Grade1) を認め、 施術回数あたりの発生頻度は1.3% (2件/157回) であった。 また、 鍼灸治療後24時間以内にリトドリン塩酸塩が増量されていた施術が2回あった。 【結論】我々の調査対象においては、 胎児機能不全の兆候および子宮収縮の増悪を認めなかった。 当科の鍼灸治療の方法においては、 母体や胎児に悪影響を与える可能性は低いと考えられた。 ただし、 2回の施術で鍼灸治療後にリトドリン塩酸塩が増量された事例があり、 妊婦に対して鍼灸治療を行う際は、 産科医と十分な連携が必要と考える。