全日本鍼灸学会雑誌
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口唇部刺針による針麻酔の効果とその生理学的意義
岡 宗由
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1981 年 31 巻 2 号 p. 140-145

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抄録

針の鎮痛効果が, 中枢神経系におけるエンドルフィン類の生成ならびに作用機序ときわめて密接な関係にあることが最近次々と証明されつつある。この問題について臨床的立場から, 次の諸実験を行った。
1) 各種疾病 25例の針麻酔手術を行った。その結果, 鎮痛効果の個体差はモルヒネ剤の術前術中投与により効果的に解消された。
2) 25症例について上下口唇2か所のみの刺針通電で針麻酔手術を行った。また口唇ならびにその他の顔面部分 (三叉神経領域) に限り低周波通電し, これを127例の和痛分娩に応用した。いずれも有効な結果を得た。
3) 腰痛患者 (93例), 和痛分娩 (25例) にオピエート剤の腰部硬膜外投与を行った。その結果すべて有効な鎮痛効果を得た。
これらの知見は, いずれも実験目的に対し積極的に支持を与えるものと考えられる。

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