頭部経穴の有効性については, 古文献ならびに臨床報告例の中で, かなり詳細に述べられるところであるが, 頭部経穴刺激後の効果発現に至る経緯については, なお現時点で不明な点が多い。
そこで今回, われわれは, ヒトならびにネコで頭部経穴の意義の一端を知るべく視覚誘発電位 (VEP) を中心として検討した結果, 以下のような知見を得た。
1. 頭部経穴におけるVEPの振幅は, 後頭部視覚領周辺に配置される絡却, 強間, 脳戸, 玉枕, 脳空などで大きく, 臨泣, 目窓, 承光, 風池, 天柱, 陽白, 完骨などでは, 小さく, VEPとの関連性は, 小さかった。
2. 前頭部の陽白穴では, ERGとVEPの重り合った波形を観察し, 網膜電位と陽白穴の関連が示唆された。
3. 頭部経穴の主治作用発現には, そのツボを支配する末梢神経が関与していると思われた。