健側に対し患側大腿四頭筋筋力が20%以上低下している一次性変形性膝関節症患者9例に対し, 患側半月板圧痛部に鍼刺激を行ない刺激前後の大腿四頭筋最大筋力の変化について検討した。患側大腿四頭筋では全例に著しい増加が認められ, 9例の平均 (±;SEM) は刺激前14.3±2.2kg, 刺激後22.9±3.0kgと有意な変化を示した (P<0.001)。一方健側では刺激前26.0±2.4kg, 刺激後27.1±2.8kgと有意な変化は認められなかった (p>0.05)。今回の実験結果は変形性膝関節症に伴う大腿四頭筋筋力低下の原因の一つとして, 筋活動の反射性抑制が関与していることを示唆するものであり, 鍼による関節の機械的刺激は抑制解除としての一定の効果を示したものと考える。