1985 年 34 巻 3-4 号 p. 257-262
糖尿病患者における合併症の進行程度が異なった3例に対して鍼治療を施し, その比較を観察した。対象患者は糖尿病と診断された3名で, 約3ヶ月から1年間にわたり, 毎日または週2回以上の鍼治療を施し, 自覚症状とFBS (Fasting blood sugar) を指標に糖尿病のコントロール状態を観察した。鍼治療開始後より, 自覚症状が徐々に軽減し, FBSについても改善がみられた。しかし, 鍼治療の間隔が長くなったり中止したりすると, 血糖値が不安定になる傾向がみられた。そのため, 糖尿病に対しては鍼治療の頻度を高くし, 長期にわたる治療が必要であると思われた。