全日本鍼灸学会雑誌
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内科診療に併療する鍼灸治療の効果について
特に人工透析患者に対して
小俣 浩山口 智芹澤 勝助大野 修嗣北川 宏
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キーワード: 鍼療法, 血液透析療法
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1988 年 38 巻 3 号 p. 288-294

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抄録

内科総合病院東洋医学外来で取り扱った慢性腎疾患で, 血液透析療法を行っている患者12名について分析した。
性別は女性が多く, 年齢別構成では31歳~71歳で平均53.3歳である。透析歴は比較的長期透析患者が多く, 透析時間もほとんどが週3回, 1日4~5時間の間, 一定姿勢を保持し透析を行っている。原疾患は, 慢性糸球体腎炎, 糖尿病性腎症, 多発性嚢胞腎・腎硬化症である。これらの患者の血液生化学検査では, BUN, CRE, UAが高く, 電解質K, Na, Ca, Piはほぼ正常範囲内であった。また, 薬物療法では, 尿酸生合成阻害剤, 電解質代謝改善剤が主体であった。これらの患者の長期に渡る持続する一定姿勢, 電解質K, Na, Ca, Piの異常による愁訴は, 頭痛・頸肩の凝り感・上肢痛・背腰部痛・下肢痛・膝関節痛であり, その鍼治療成績は, 有効・やや有効合わせて73.1%であり, また, 悪化例は認められなかった。

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