全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
全身性強皮症患者の臨床治療の1例
末梢血流の改善を指標として
吉田 剛典, 小野 孝彦, 松本 克彦, 長瀬 千秋, 藤岡 晨宏
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 40 巻 3 号 p. 259-264

詳細
抄録
末梢循環障害を呈し, 肺, 消化器の臓器症状を伴った全身性強皮症 (PSS) の1症例に対し, 週3回の鍼治療と週1回のレーザー治療及び漢方薬等の総合的な治療を行い経過を観察した。末梢循環障害のために指尖に潰瘍性瘢痕を認め, その血流改善の指標にレーザードップラー血流計測法 (LDV) を用いた。全身的な鍼治療を行った前後においてLDV値を測定した。測定を行った9回のうち8回は末梢血流の増加が認められ, そのうち2回は, 健常者の血流値のレベルに達した。各種の治療により, 多発関節痛の軽減と嘔吐の消失が認められ, 上部消化管造影によっても噴門部の通過障害が改善された。血液検査所見においても高IgG血症の改善や, 炎症反応の改善が認められた。以上により本症例の治療において, 漢方薬やレーザー照射などの他の治療と共に, 鍼治療の有用性が示唆された。
著者関連情報
© 公益社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top