全日本鍼灸学会雑誌
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総腓骨神経の絞扼性神経障害について
発症要因の臨床的検討と治療法の考案
小川 義裕
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1991 年 41 巻 2 号 p. 181-189

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抄録
当院を受診した患者100名200肢を対象に Fabella 部と総腓骨神経のENとの係わりを調査した結果, 一定大の Fabella を含む何等かの腫瘤が素因となり, これに介在する腓腹筋等の spasm や変性が要因となって発症するものと推測された。また, 腓骨神経は複数の部位で結合織性組織による固定を受けており, 下腿屈筋群の spasm 等が複合的に関与する double lesion の可能性も示唆された。最近1年間での患者を対象に針刺治療の考案と検討を行なった結果, 軽症 (神経障害の分類上) な本症に対し顕著な効果が認められた。これまでに考案した Fabella 部への施術の治療効果より, 発症要因に関する筆者の仮説の妥当性が示された。今後は更に, 分節性伝導速度測定法や inching technique 等による局在診断と, Fabella 部の剖検による病態の究明による, 筆者の仮説の検証が必要である。
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