全日本鍼灸学会雑誌
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自律神経障害の病態と治療
服部 孝道
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2004 年 54 巻 4 号 p. 581-591

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抄録

自律神経系は呼吸、循環、消化、代謝、分泌、体温維持、排泄、生殖など、生体にとって最も基本的な機能調節を担う神経系である。随意的に運動機能の調節を行う体性神経系とは異なり、自律神経系は随意的な制御を受けずに無意識的に機能しており、平滑筋、心筋、腺などを支配し、生体の内部環境の恒常性 (ホメオスタシス) の維持に重要な役割を果たしている。本講演では私どもの教室で取り組んでいる自律神経研究の中から起立性低血圧と食事性低血圧および神経因性膀胱を取り上げ、その病態と診断および治療について述べた。これらはいずれも頻度が高く、患者のADLを阻害し、時に重篤な合併症をきたす重要な疾患であるが、あまり注目されておらず、見逃されていることの多い疾患である。治療法や予防法があるので、積極的に見出し、治療することが望まれる。

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