全日本鍼灸学会雑誌
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維持透析医療における鍼治療の可能性
透析医療スタッフによるアンケート調査より
櫻庭 陽沢崎 健太本田 達朗森山 朝正
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2006 年 56 巻 1 号 p. 76-83

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抄録

【目的】維持透析医療において広く鍼治療が導入されるためには透析医療スタッフの理解や協力が不可欠である。本研究では、透析医療スタッフの鍼治療に対する理解の程度と、鍼治療経験後の鍼治療に対する考えをアンケート調査によって明らかにする。その結果から維持透析医療における鍼治療の可能性を検討した。
【方法】鍼治療体験コーナーに来訪した透析医療スタッフ (105名) を対象に、どの程度鍼治療を理解しているかについてアンケート調査を実施した。次に、鍼治療 (円皮鍼) の体験によって対象者の鍼治療に対する理解に変化が生じたか、鍼治療の効果や方法に関するアンケート調査を行った。
【結果と考察】鍼治療を経験している対象者は少なかった。また、経験の有無に関係なく多くの人が恐怖心を持っていたが、円皮鍼による治療体験によって恐怖心は払拭された。これらの結果から、鍼治療は透析医療スタッフに十分理解されていないことが考えられる。一方で、鍼治療の衛生面や安全性に関して容認する人が多く、鍼治療が透析医療に貢献できると回答した人もいることから、今後さらに鍼治療が広まる可能性を感じた。今後、維持透析患者に対する鍼治療効果を含め、スタッフへの啓蒙活動を行って十分な理解を得ることが必要である。

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