抄録
気管支の狭窄、閉塞は、気管支壁自体に基因するものと周辺病変の波及圧迫などによるものに大別され、また可逆性の場合や非可逆的なものがあるが、慢性呼吸器疾患診療の場からみるとその大多数は悪性腫瘍によるものである。結核は近年次第に減少し、強力短期化学療法時代になって2次的結核は稀になった。喀疾その他の検査で結核菌が証明されれば気管支鏡検査の対象とされることも少なくなったが、胸部疾患鑑別診断の時点では1次的に気管気管支結核を診断されることが必ずしも稀ではない。気管支狭窄には間接的要因もあるが、結核に原因するものであれば早期診断治療によって器質的機能的後遺障害を防止し得る場合が少なくないと考えられるので、診断的気管支内視鏡検査症例から結核性の気管支狭窄について検討した。