2004 年 24 巻 4 号 p. 153-156
気管チューブ挿管用金属スタイレットは, 気管挿管困難症例において挿管を補助する器具として広く一般に使用されている. 金属スタイレットが挿管操作時に折損しその先端部分が食道に迷入して消化管異物となった症例を経験した. 担当麻酔科医がそれに気づかず, 1週間後に撮影されたレントゲン写真にて上行結腸内の異物として発見された. 異物は翌日の排便時に無事排泄され, 合併症は引き起こされなかった. 金属スタイレットの折損片による事故の予防には, 定期的な器具の点検が重要である. また, 使用者である麻酔科医自身が危機管理の意識をもち使用前後の確認を怠らない必要がある.