日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第23回大会—
麻酔科医療フロントライン—吸入麻酔・静脈麻酔—
セボフルランVIMA法の気管支ファイバースコープを用いた気管挿管への応用: プロポフォールTCI法との比較
稲垣 喜三渡邊 倫子坂本 成司石部 裕一
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2004 年 24 巻 9 号 p. 471-478

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抄録

気管支ファイバースコープ (FBS) 操作未経験者が, FBSを用いた経鼻挿管を行う際に適した麻酔法を見出すために, セボフルランを用いた急速導入維持 (VIMA) 法とプロポフォールの至適濃度投与 (TCI) 法を比較した. 気道管理困難症例35名を, 導入する麻酔法に従いセボフルランVIMA法群 (SVIMA群 ; n = 15), 低効果部位濃度 (2.8μg・ml -1) TCI法群 (LTCI群 ; n = 10), 高効果部位濃度 (4.0μg・ml -1) TCI法群 (HTCI群 ; n = 10) の3群に無作為に分けた. 麻酔導入時間はSVIMA群が最も短かった. HTCI群では, 麻酔導入中の呼吸抑制が高頻度に発生したが, 気管挿管後の循環動態の変動は最も小さかった. LTCI群では気管挿管前後のBIS値が60を超えた. 初回気管挿管成功率や合併症発生率は, 3群間で同様であった. 未経験者のFBSを用いた経鼻挿管では, セボフルランVIMA法が安全で確実な麻酔法であることが示唆された.

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© 2004 日本臨床麻酔学会
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