抄録
Whitsettらのグループは, ヒトサーファクタント蛋白B遺伝子プロモーターの解析に関する報告以降, thyroid transcription factor-1 (TTF-1) , hepatocyte nuclear factor-3 (HNF-3) が, 胎児期に肺上皮細胞で産生が開始される肺上皮細胞特異的遺伝子の転写制御に重要な役割を果たすことを次々に明らかにした. また, それぞれの遺伝子のノックアウトマウスの表現型からTTF-1, HNF-3βが肺の初期発生においても重要な転写因子として考えられるようになった. 最近では, 新生児の気管支肺異形成 (新生児慢性肺疾患) の病態に, TTF-1とHNF-3が重要である可能性を指摘する報告, 肺損傷の修復過程におけるHFH-8 (FOXf1) の重要性に関する報告も認められる.