日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第23回大会 シンポジウム—
肺病変の修復・再生へのアプローチ
組織 (骨髄) 幹細胞からのアプローチ
久保 裕司
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2005 年 25 巻 3 号 p. 293-300

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抄録

  ARDSなどの急性肺損傷時, 肺組織では傷害とともにその修復が常に行われている. 近年, 骨髄由来の間葉系幹細胞がさまざまな臓器細胞に分化することが明らかになった. マウスLPS肺損傷モデルにおいて, 骨髄前駆細胞は炎症刺激により末梢血中に増加し, 肺毛細血管内皮細胞・肺胞上皮細胞に分化した. この骨髄由来細胞を抑制すると, 傷害後の修復機転がうまく働かず肺胞構築の破壊が生じた. また, マウス肺気腫モデルにレチノイン酸またはgranulocyte-colony stimulating factor (G-CSF) を投与すると, 気腫化病変の改善が認められた. このときも, 再構築された肺胞壁に骨髄由来細胞が存在した. 以上のことは, 肺の修復および再生の過程において, 骨髄由来細胞が重要な役割を果たしていることを示している.

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© 2005 日本臨床麻酔学会
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