2005 年 25 巻 5 号 p. 455-465
保険医療制度の政策のトレンドは医療費削減の方向に向かっている. これは, 単に医療保険の財政危機という問題だけでなく, 高齢化, 少子化, 核家族化という, 日本の国の構造そのものに問題が出てきていることに起因する.
この流れのなかで, 2003年より特定機能病院に包括支払制度が導入された. 本制度において入院患者の在院日数が短縮した場合, 「手術」 ありの診断群においては, おおむね在院日数短縮は増益をもたらすが, 利益は大変低く抑えられる. また 「手術」 なしの診断群においては, 増益・減益の分岐点となる材料費率の限界値は低いレベルであり, 材料費率が限界値を超える場合, 在院日数短縮は減益を招く.