抄録
経食道心エコーは今や心臓血管手術に必要不可欠なモニターとなった. しかし, 小児においてはプローブのサイズ, 合併症の危険性, 解剖学的理解の困難等が普及の障害となってきた. 近年, 小児用プローブの開発とともに新生児を含む多くの小児症例に経食道心エコーが用いられるようになってきた. しかし, 本邦においては麻酔科医が経食道心エコーを駆使して小児先天性心疾患の周術期管理を行っている施設はいまだ少ないと思われる. 小児先天性心疾患の術中経食道心エコー診断はなお修練期にあり, 今後さらに高い診断能力をもつ装置の開発とともに, ソフトウエアとしての診断知識の蓄積が図られなければならない.