2005 年 25 巻 7 号 p. 657-661
全身麻酔症例の術中覚醒に関する前向き調査を過去2年間にわたって行った. 全身麻酔1,872例中2例に術中覚醒を認めた. この2例は手術室入室時ショック状態を呈していた. 麻酔中, 両症例のBIS値は60以下であったが, 血圧を維持するために十分量の鎮痛薬は使用できなかった. BIS値は安定した血行動態のもとで十分な鎮痛が得られている状態で評価するべきであり, 術中の鎮痛が不十分となる可能性が高いショック状態の症例では, BIS値による鎮静度の評価は術中覚醒を回避できない可能性が示唆された.