日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第25回大会 パネルディスカッション—
もはや全身麻酔に笑気は不要か
笑気使用中止後17年を経過して
坂井 哲博
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2006 年 26 巻 7 号 p. 671-673

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抄録
  日本における笑気の歴史的意味を, 松木明知氏が上梓した『麻酔科学の源流』をもとに概観した. 時代背景として, 朝鮮戦争の負傷者が急増したための在日米軍病院における笑気需要の増大があげられる. 連合軍司令部の要請を受け, 笑気製造に加えて笑気麻酔の普及が積極的に行われた. さらに忘れてならないのは, 電気メスの普及とともに, それまで行われていたエーテル麻酔中の爆発事故が注目を集めたことである. その対策としても笑気麻酔の普及は不可欠と考えられた. どの薬物をどのように用いるかは麻酔科医の哲学による. 決して, 表面的な知識と限られた経験だけで決定されるものではない. 深い知識と経験を共有する態度とともに, 時間の因子を加味した歴史的意味を深く認識することが重要である.
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© 2006 日本臨床麻酔学会
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