抄録
ロクロニウムは, 速い効果発現と代謝産物に薬理作用がないことから使い勝手がよい. しかし, 電解質異常, 薬物相互作用によって, 筋弛緩薬の作用増強や拮抗など予期しない反応を起こす可能性がある. また, 低体温状態におけるロクロニウムの薬物動態, 薬力学的変化も十分に理解する必要がある. 集中治療室 (ICU) で筋弛緩薬を使用する場合, 手術室との大きな違いは使用する時間が長いことであるが, ほかに長期臥床, 併用薬剤, 基礎疾患など考慮すべきことがある. また, 手術室から気管挿管した状態のまま術後管理をする場合や持続投与, 心臓手術のファストトラックに影響する落とし穴などについて解説する.