2009 年 29 巻 7 号 p. 749-757
くも膜下腔に投与された薬剤のbaricityは脊髄くも膜下麻酔の発現, 拡がりに対して大きく影響を与える. 糖を含有するハイパーバリックブピバカイン (hyperbaric bupivacaine; 高比重マーカイン®) は水, 髄液より重く, くも膜下腔に投与された後の分布は, 重力の影響を受ける. 糖を含有しないプレーンブピバカイン (plain bupivacaine; 等比重マーカイン®) は水よりも重く (高比重) , 髄液より軽い. L2/3, L3/4で穿刺した場合は, その麻酔範囲はばらつきが大きくなるが, L4/5で穿刺された場合はばらつきが小さくなり高齢者の股関節手術には最適な麻酔範囲が得られる.