日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
講座
理想的な利尿薬としてのhANPの可能性
—周術期におけるhANP投与方法のヒント—
横山 武志細井 理絵城戸 幹太
著者情報
キーワード: 利尿薬, hANP, 腎保護
ジャーナル フリー

2009 年 29 巻 7 号 p. 803-808

詳細
抄録

  ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド (hANP) は心房から分泌される28残基からなるペプチドホルモンであり, 腎保護作用や利尿作用をはじめとするさまざまな生物学的作用をもつ. 周術期に通常量 (0.1μg/kg/min) で投与すると血管拡張作用による低血圧が生じやすく, 麻酔維持が困難であった. しかし, 0.01μg/kg/minという低用量でも, 体液バランスが保たれていれば麻酔中に低血圧をきたすことなく, 十分な利尿効果を得ることができ, 電解質異常も生じにくい. さらにヘモグロビン値も維持され, 輸血リスクを減少できる可能性もある. hANPは周術期における新たな理想的利尿薬としての可能性がある.

著者関連情報
© 2009 日本臨床麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top