日本医学シミュレーション学会の教育コースから判明した輪状甲状膜切開法のトレーニングにおける問題点について検討した. 本教育コースでは受講生は, シミュレーターによる輪状甲状膜切開訓練後, 豚喉頭を用いてトレーニングを行い, 膜様部から切開・展開した. 生体特有の感触や個体差から生じるバリエーションを体験でき, 解剖によって手技の確認を行った. 挿管チューブが気管内膜と気管壁との間へ迷入することも判明した. 実体型シミュレーターによって危機的状況下でのトレーニングはできるが, 豚喉頭を使用した場合実践的なコツの修得ができ, 輪状甲状膜切開のトレーニングとして有用である. 生体を用いた実習ならではの発見もできる.