抄録
筆者らは, 麻酔と脊髄, 硬膜外腔における形態学的問題について, 脊髄造影, 硬膜外造影, 椎間板造影, 脊椎脊髄の解剖, 脊髄MRIなどを用いて研究を行ってきた. 脊髄, 硬膜外腔の形態学的特性を正しく理解することは, 脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔を施行するうえで基本となることであり, きわめて重要なことである. これまでの研究で, 教科書には書かれていないいくつかの新たな所見も得られた. 本稿では, 硬膜外注入による容量効果, 妊婦や肥満者, 高齢者でみられる脊髄や硬膜外腔の形態学変化, 脊髄馬尾神経と体位との関係, 成人と子供での馬尾神経の違いなどについて解説する.