日本臨床麻酔学会誌
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講座
心筋虚血再灌流障害をレビューする—原因解明と治療への試み—
真田 昌爾
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2010 年 30 巻 1 号 p. 40-51

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抄録

  冠血流量は心筋の高エネルギー要求に比べ相対的に少なく, 心筋は虚血に弱く容易に細胞死をまねく. 当初ATP枯渇・再補充が重要とされたがNo-reflow現象, 気絶・冬眠心筋の発見で再灌流障害や非致死性収縮不全を含む「虚血再灌流障害」の概念が整理された. 原因はカルシウム過負荷, 活性酸素, 微小循環障害等さまざまで, アポトーシス, オンコーシス等の細胞死に加え, 心筋細胞の構造蛋白新生, ユビキチン化, 自家貪食等の障害も虚血再灌流障害に寄与する. 本稿は虚血再灌流障害の病態生理と, 虚血プレコンディショニング/ポストコンディショニングによる心筋保護機序研究を軸に最近の知見を交え, その成因から治療への展開を概説する.

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© 2010 日本臨床麻酔学会
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