抄録
硬膜外麻酔を併用した全身麻酔症例の胸腹部術後疼痛管理に0.2%ロピバカインのみを5ml/hrの速度で持続投与した際, 手術後に鎮痛薬が追加投与される症例の割合, 投与されるまでの時間を後ろ向きに90例調査した. 局所麻酔薬単独の硬膜外持続投与では52例中38例が24時間以内に追加投与を必要とした. 手術直後に塩酸モルヒネを硬膜外投与された症例では追加例が有意に少なかったが (34例中4例) , 悪心・嘔吐の発生率は増加していた (22例) . 鎮痛薬が追加投与されるまでの時間は麻酔中のフェンタニル静脈内投与量とのみ有意な正の相関を示した (回帰係数0.62min/μg, 標準偏差1.77) . ロピバカイン単独による術後硬膜外鎮痛は悪心・嘔吐の合併が少なかったが, 多くの症例で術後の追加の鎮痛処置を必要とした.