抄録
脊髄くも膜下麻酔で麻酔管理を行った脊椎手術の2症例を経験した.症例1は60歳,男性.特発性間質性肺炎に対して内服加療中であった.腰部脊柱管狭窄症に対して椎弓切除術が予定された.全身麻酔後の特発性間質性肺炎の急性増悪を考慮し,0.5%等比重ブピバカインによる脊髄くも膜下麻酔で管理した.症例2は47歳,女性.血縁者に悪性高熱症患者あり.腰椎椎間板ヘルニアに対して内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術が予定された.全身麻酔による悪性高熱症発症の可能性を考慮し,0.5%等比重ブピバカインによる脊髄くも膜下麻酔で管理した.麻酔中に低血圧と嘔気が認められた以外には,2症例ともに良好な経過で無事退院した.