日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第28回大会 教育講演
脊髄鎮痛と交感神経
西川 精宣
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2010 年 30 巻 5 号 p. 717-726

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抄録
  交感神経系は自律性生理機能に大きくかかわっているが,痛みの発生や持続にも関与しており,特に難治性疼痛の治療を考えるうえで検討すべき領域である.脊髄鎮痛,つまり薬剤の脊髄くも膜下投与と硬膜外投与を含んだ主として脊髄への直接効果による鎮痛法は,薬剤投与量の減量,副作用の軽減や作用時間の延長を期待できる.ネオスチグミンを除き,交感神経抑制が同時に生じる薬剤が多いが,少なくとも末梢交感神経遮断は痛覚過敏減弱にあまり影響していないようである.体内埋め込み型のくも膜下カテーテル注入装置は難治性疼痛治療の新たな展開をもたらす可能性があり,脊髄レベルでの交感神経遮断の役割を明らかにしていくことは意義があると考える.
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© 2010 日本臨床麻酔学会
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