日本臨床麻酔学会誌
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〔日本医学シミュレーション学会〕原著論文
DAM(Difficult Airway Management)実践セミナー参加者を対象とした心肺蘇生における気管挿管デバイスの検討─マネキンを用いたシミュレーション解析─
駒澤 伸泰植木 隆介岡野 紫下出 典子中川 雅史上農 喜朗
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2010 年 30 巻 5 号 p. 822-827

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抄録
  胸骨圧迫を中断せずに気管挿管を迅速かつ安全に施行できれば,蘇生率の向上が期待される.われわれは以前の報告で,単一施設におけるマネキンを用いた研究において,胸骨圧迫中の気管挿管におけるエアウェイスコープ®(AWS)の有用性を示した.今回,多様な麻酔経験をもつDAM実践セミナー参加者34名を対象とし,マッキントッシュ型喉頭鏡(McL)とAWSによる胸骨圧迫施行中の挿管時間と成功率,および両デバイス経験数との相関を検討した.前回報告と同様に胸骨圧迫中にMcLを用いた挿管時間は,非胸骨圧迫時に比して有意に延長していたが(非胸骨圧迫 vs 胸骨圧迫,15.0±3.3秒 vs 20.7±10.2秒,P‹0.01),AWSは延長しなかった(非胸骨圧迫 vs 胸骨圧迫,12.7±3.3秒 vs 13.0±4.2秒).McLを用いたときの成功率は胸骨圧迫下で有意に低下したが(P‹0.01),AWSでは低下しなかった.McL挿管数と胸骨圧迫中の挿管時間の間には有意な負の相関がみられた(P‹0.05).一方,AWS挿管数と胸骨圧迫中の挿管時間の間にはみられなかった(P=0.91).胸骨圧迫中のAWSを用いた気管挿管は,McLに比して経験が短くても正確かつ迅速に使用できる可能性が,多施設からの被験者においても示された.
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© 2010 日本臨床麻酔学会
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