抄録
自己血回収装置を用いた術中回収式自己血輸血は,同種血輸血による感染症の伝播や免疫反応,血液型不適合輸血などの合併症の回避目的に,心臓血管外科手術のほか,大量出血の際の整形外科や婦人科手術などで施行されている.産科手術における術中回収式自己血輸血では,羊水中の胎児由来の成分の混入による羊水塞栓症が危惧されている.しかし,帝王切開において白血球除去フィルターを用いた濾過による回収式自己血輸血では胎児由来の成分は除去され,これまで臨床的に羊水塞栓症の報告例はない.産科手術における大量出血に対して,白血球除去フィルターを用いた濾過による術中回収式自己血輸血は救命治療の一手段として期待される.