抄録
麻酔科業務のシステム化のためにドナベディアン・モデルを基礎としたPDCAサイクルの考え方と数理統計モデルの導入を提案する.目標とする点は,数理統計モデルの導入により,患者のアウトカムの視点を診療に導入し,そのために実行すべき業務や注目すべき業務内容を客観的に関連づけることであり,PDCAサイクルの適用により診療の結果として得られる情報を将来の診療や患者のためフィードバックし改善する仕組みの構築を行うことである.これらの取り組みにより診療の質の向上と維持が可能になると期待される.本稿では,術後悪心嘔吐と術後鎮痛法について具体的に説明した.さらに,情報の可視化が進むことにより,学生や研修医教育のためにも有用である.