抄録
鎮静薬の長期連用の弊害から,現代ICUにおける鎮静は,スケールを用いて客観的に評価しプロトコールに従ってできるだけ浅く維持するのが原則である.近年,この原則に沿う鎮静法として,1日1回の鎮静中断により,人工呼吸時間やICU滞在時間が減少するばかりでなく,長期予後も改善する可能性が示された.その前提として,疼痛,不安,せん妄などを鑑別し,適切な対応を行い,深い鎮静を必要とすることがないようにしておかなければならない.中でも適切な鎮痛は不可欠である.本稿ではanalgesia based sedationの概念,登場した背景,妥当性,実際の方法,弊害について文献的に考察する.