抄録
麻酔医療は,手術の前の患者診察から始まり,手術中の呼吸管理,循環管理,疼痛管理,そして手術後の患者の呼吸,血圧,心拍数の安定や意識の回復の確認といった,一連の重要な医療行為を指していると認識している.麻酔医療を担う医師は,手術のために麻酔をかけるだけでは終わらず,手術の前後にわたって患者が安全かつ快適に手術が受けられるよう日々研鑽を積み,努力しておられることと推察する.本稿では,日本麻酔科学会が「麻酔科医不足への対応策」としてあげた,地域圏内での麻酔業務の提携,麻酔業務における役割分担の明確化,卒後臨床研修における麻酔科の必修化など,麻酔医療の現状,課題,今後について述べる.