抄録
非がん性慢性疼痛は治癒が期待される期間を過ぎても持続する痛みの総称であり,その病態は多彩で診断や治療が難しい疾患として知られている.近年,本邦でもこの非がん性慢性疼痛に対してオピオイド治療が導入され,その有効性が認められつつあるが,一方麻薬による依存,嗜癖,乱用等さまざまな問題点も指摘されている.今回,われわれは疼痛治療を主に行っている医師を対象としたアンケートを行い,オピオイド治療の現状と課題を探ってみた.その結果,オピオイド治療は有用な治療法の一つではあるが,現段階では限定的に用いるべきであること,また実践においては慎重な患者選択と定期的なモニタリングが重要であることが示唆された.