日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第30回大会 シンポジウム ─胎児と母体をめぐる麻酔の問題─
胎児,出生児からみた無痛分娩
林 玲子
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2012 年 32 巻 3 号 p. 331-336

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抄録

  分娩の痛みは個人差があるが,陣痛の刺激により母体の血圧上昇,過呼吸を生じるような場合は二次的に臍帯血管の収縮,子宮胎盤血流低下をきたし,さらには間接的に胎児への酸素供給低下などの影響を起こしうることがわかっている.よって硬膜外麻酔による無痛分娩は,母体の痛みを取り除くだけではなく胎児に起こりうる二次的な悪影響を防ぐことが可能である.母体への硬膜外麻酔が与える胎児・新生児への影響は直接的,間接的なものが考えられるが,臍帯血流の維持を念頭に硬膜外麻酔による合併症の早期発見がなされるような麻酔管理が行われていれば,麻酔の利点を最大限に胎児・新生児に還元することが可能である.

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© 2012 日本臨床麻酔学会
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