日本臨床麻酔学会誌
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原著論文
小児気管チューブ挿入長決定法の比較
柴崎 雅志志馬 伸朗中嶋 康文石井 祥代溝部 俊樹佐和 貞治
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2012 年 32 巻 3 号 p. 371-374

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抄録

  小児の気管チューブの挿入長は安全域が狭く,その決定に注意が必要である.現時点で利用可能な5つの挿入長決定法の有効性を比較し,不適切となる原因を調査した.適切な気管チューブの先端位置は「胸部X線写真による気管チューブの先端位置が両側鎖骨中線と気管分岐部より0.5cm頭側の間」と定義し,気管挿管後,胸部X線写真により気管チューブ先端の適切範囲を評価し,各種挿入長決定法に基づき算出した挿入長との関係を評価した.各種決定法で適切範囲内に収まる割合は56.0~64.0%,浅過ぎる割合は26.0~42.0%,深過ぎる割合は0.0~14.0%であった.現存する挿入長決定法では適切範囲内に収まる割合は低く,各種挿入長決定法により不適切な位置になる原因も異なっている.今後,より正確な挿入長決定法の構築が必要である.

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© 2012 日本臨床麻酔学会
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