麻酔科医の周術期管理という面における代表例として,最近当院ICUにて診断治療に難渋した術後症例の2例を紹介する.症例1は肺手術後に繰り返す胸腔内出血があり,後天性血友病と診断された症例である.術前からPT(prothrombin time)は正常かつAPTT(activated partial thromboplastin time)の延長がみられ,術後に診断した.遺伝子組換え活性型第VII因子製剤,活性化プロトロンビン複合体製剤,ステロイド投与にてインヒビターは消失し軽快退院となった.症例2はLVOT狭窄解除,AVR術後症例である.肺動脈性肺高血圧症,急性腎不全となりPCPS,CHDFを施行し,シルデナフィル,ボセンタン,NOを投与した.また,APRVを施行したが,患者は腸管虚血から死亡した.麻酔科医は術後集中治療での診断・治療に深く関与することによって患者のアウトカムに大きく関与することが可能である.