抄録
移植心は自律神経の支配が解除された除神経化の状態にある.心拍出量は前負荷に高度に依存するため,循環血液量の減少を避けねばならない.人工心肺の離脱の際には,適切な心拍数と心拍出量を維持するためにペーシングとイソプロテレノールを使用する.心臓移植後の不整脈の発生率は23~79%であり,心房性不整脈が最も多いものである.心臓突然死の発生率は0.5~35%と幅広く,その原因としては心室細動と心静止が最も多い.移植後1年以内の突然死は急性拒絶反応によるものが多く,1年以降では慢性拒絶,すなわち移植心血管症によるものが多い.