抄録
先天性低フィブリノゲン(Fbg)血症は,Fbg合成障害に基づく常染色体劣性の極めてまれな出血性疾患である.今回われわれは不妊治療中に低Fbg血症と診断され,Fbg製剤補充下に2回の手術(子宮筋腫核出術および帝王切開術)の麻酔を経験した.産婦人科と血液内科と連携をとりながら血漿Fbg値140mg/dl以上で維持した.麻酔は筋腫核出術では腹横筋膜面ブロック併用の全身麻酔,帝王切開術では脊髄くも膜下麻酔を選択した.いずれの周術期を通して出血に伴う合併症を起こすことなく経過した.術前のFbg製剤の補充療法は有用であると考えられた.また,Fbg値と麻酔法の選択に関しては,さらなる検討が必要である.