2013 年 33 巻 4 号 p. 606-611
坐骨神経は,仙骨神経叢の終末枝の一つであり人体で最長の神経である.膝窩部の上方約7cmで脛骨神経と総腓骨神経に分かれ,脛骨神経は下腿後方および足底の屈筋群を支配する.総腓骨神経は下腿および足背の伸筋群を支配する.坐骨神経ブロックはその長い走行に沿って多くのブロック法があるが,代表的なのは,傍仙骨アプローチ,臀下部アプローチ,前方アプローチ,膝窩アプローチである.傍仙骨アプローチは,最も中枢で行うブロックであり,大腿後面を確実にブロックするには傍仙骨アプローチを選択する.他の3つのアプローチはいずれも下腿の手術に対して用いることができる.必要な鎮痛部位,大腿神経ブロックなど他のブロックとの併用を考えて適切なアプローチを選択することが重要である.